小笠原エコツーリズム協議会

method

近自然工法によるルート整備

Promenade

小笠原村が実施する遊歩道整備

小笠原では、自然環境の保全と利用を両立させるエコツーリズムの理念に沿ったエコツアーが定着しています。希少動植物を観察し自然と歴史を感じられる山域ツアーは、専門ガイドの案内のもと多くの方に利用されております。また希少動植物を後世に残していくため、専門機関による調査等の取り組みも行われているところです。その一方で、利用増に伴う歩道への負荷と集中的な豪雨による土壌流出で、部分的な歩道の崩れなどが起こっています。この状態が長く続くと、更なる土砂流出に発展し歩道周辺の植生環境の悪化とともに希少動植物が減少する他、利用上の安全性を保つこと自体が難しくなります。

そこで小笠原村では、2013年から自然環境の保全と利用者の安全のため、補修可能な段階から自然に極力負荷をかけない遊歩道整備の方法として「近自然工法」を用いた整備事業を行っています。

近自然工法とは、降雨時に起こる水の流れ、利用者の歩行経路、現地の植生を考察したうえで、周辺に散在する石材や木材を用いて整備する工法で、その場の自然環境を回復させることを目的としています。

○木材と石材を用いた段差解消(階段設置)

・歩道上のこう配がある箇所に、木材と石材を用いて高さ20cm以内の階段を設置。
・階段はジグザグに設置し、踏み面を大小設けることで、歩行者の歩幅に合わせる。

○歩道脇の踏み抜き箇所の補修

・利用者による踏み抜きと流水の影響で歩道が狭くなっている箇所(崖側)に、木材を設置し石材を埋めることで歩道幅を確保。

○木材を用いた階段の設置

・土砂流出によって歩道が埋もれ斜面となった場所に再度歩道を設置。
・縦に基礎となる木材を設置し横木で階段、石材で踏み面を確保。

・降雨時に上流から流れる流水を避けるために転石を設置。
・石材の下部を地面に埋め込み、踏み面は平面とし左右の歩幅に合わせる。
・石材間には隙間を作り流水を流すことで浸水を防ぐ。

村の遊歩道整備は、陸域のガイドの方と協力して、利用実態や補修箇所などの把握を行っています。また整備作業は関係団体と共同で実施することによって、それぞれが関わる村民、調査員、来島者に向けて、保全と安全意識、利用環境の向上に取り組んでいます。