minamijima-islands
南島
Minamijima Island
南島について
南島は父島南西に位置する南北約1.5km、東西約400mの小さな無人島で、カルスト地形(石灰岩が浸食や風化を受けてできる地形)が地殻変動で海中に沈んでできた「沈水カルスト地形」が見られます。
沈水カルスト地形は国内でも珍しく、ラピエと呼ばれる鋭く尖った石灰岩や、白い砂浜、入り江などの特異な地形や景観が見られることから、平成20年には国の天然記念物に指定されています。特に外海とトンネル状につながる扇池は、扇形のエメラルドブルーの海と白く美しい砂浜が人気の観光スポットです。
島の広い範囲でカツオドリ、オナガミズナギドリ、アナドリなどの海鳥が繁殖しています。また、扇池の砂浜はアオウミガメの産卵場所として利用されています。
植物については、父島ではノヤギの食害によって個体数が激減している固有種のオガサワラアザミやツルワダンの他に、イソマツ、クサトベラ、コハマジンチョウなどの海岸植生が自生しています。
Ecotourism
南島のエコツーリズム
南島には昭和46年までノヤギ(野生化したヤギ)が多数生息していて、食害によって植生に大きな被害を与えていました。ノヤギ排除後には回復傾向にあった美しい自然を求め多くの観光客が南島を訪れるようになり、人の踏圧で再び植生が破壊される状態となりました。また、人に付着して持ち込まれた種子から外来植物の分布が広がるという悪影響も出始めました。
これらの状況から南島の美しい景色や生態系を守るために、東京都と小笠原村が平成14年に南島を適正に利用するためのルールを定め、平成15年4月から自然保護と観光利用の両立を目指したエコツーリズムの運用を実施しています。
適正な利用のルール
1 東京都自然ガイドの指示に従う。※1
2 東京都自然ガイドは、その身分を表示する腕章等を着用する。
3 定められた経路以外を利用しない。※2
4 植物、動物、木片類、石など自然に存在するものはそのままの状態にする。
5 動物、植物、種子、昆虫などの移入種を持ち込まない。
6 動物にえさを与えない。
7 動物を驚かしたり、追い立てたりしない。
8 岩石などに落書きをしない。
9 ごみは捨てず、すべて持ち帰る。また、海へ投棄しない。
※2「定められた経路」とは、右下図の赤点線部分です。この経路以外は立入禁止です。
これらの利用上のルールの他に、
ガイド1人が案内できる観光客は15人までとしています。
適正な利用のルールの遵守によって、南島の状況は大きく変化しています。南島の価値や美しい自然を未来へと残していくためにも、利用ルールの遵守はとても大切なことです。
南島を訪れる際には、ルールを守りながら観光を楽しんでください。
column
コラム
南島に行くためにはガイドの同行が必要なため、ツアーに申し込むことで行くことができます。また、村民による南島利用については次記をご覧ください。
村民の方で下記の手続きを行えば、ガイド業者のツアー以外で南島を利用できます。
① 小笠原諸島森林生態系保全センターが実施する簡易講習(40分程度)を受講
② 小笠原総合事務所国有林課にて入林申請を行い、入林パスを取得(2年間有効)
③ 南島を利用する前に小笠原村役場の産業観光課に入島届を提出
⇒届出の際に腕章が貸し出されるため、腕章を身に着けて南島を利用
① 外来種対策
靴底や衣類などに外来植物の種子、外来動物の卵、プラナリア類などの外来種が付着していて、そのまま意図せず島内に持ち込んでしまうケースが考えられます。出港前に靴底の洗浄、衣類やバッグなど所持品の付着物を除去することが大切です。
② 動植物への配慮
植生の踏圧や、地中に巣を作ることがあるアナドリやオナガミズナギドリの巣穴の踏み抜きなどを防ぐため、定められた経路に設置してある石(転石)の上を歩くようにしましょう。適正な利用のルールにもあるように、動物にえさを与えたり、驚かしたり追い立てたりしないようにしましょう。
③ 健康管理
南島は日陰が少なく、特に夏は非常に暑くなる場所です。前日の食事や睡眠など体調を整え、島内では帽子やタオルなどで日差し対策をして、こまめに水分補給をしましょう。また、南島は「ラピエ」と呼ばれる石灰岩でできた鋭く尖った岩が多く見られます。ラピエで思わぬケガをしないよう注意して行動しましょう。